Expert LiMS 株式会社ツムラ様の導入実例

株式会社ツムラは1893年4月10日に創業し、現在、「自然と健康を科学する」という経営理念の下、日本の伝統に培われた漢方薬をとおして、人々の健康と医療に貢献することを目指し医療用漢方製剤を中心とする事業を展開しております。

社名 株式会社ツムラ
本社所在地 東京都港区赤坂二丁目17番11号
創業 1893(明治26年)4月10日
資本金 194億87百万円(2016年3月31日現在)
従業員数 3,242名(2016年3月31日現在)
事業内容 医薬品(漢方製剤、生薬製剤他)の製造販売
URL http://www.tsumura.co.jp

導入先工場

※分析機器:HPLC、GC、GCMS、LCMS・・・/接続台数:156台(HPLC:86台)


茨城工場

静岡工場

石岡センター

上海津村

深セン津村

品質管理システム導入の背景とポイント

作業標準、試験結果の判定方法や基準の統一という課題

株式会社ツムラ
情報技術部
部長 佐藤 秀男氏

ツムラの情報技術部で行っている業務の範囲は年々広くなっています。日本国内だけでなく、上海津村、深セン津村のシステムも全て見ています。LIMSについては、静岡工場の導入を皮切りに茨城工場、石岡センター、中国の深セン津村上海津村に導入し、分析センターでも同様に様々な取り組みを行っています。品質管理部門における課題としては、部門毎に償却方法や、分析機器メーカーが異なったり、機器の更新時期が不明確、新旧の機種が混在、といった現状があり、部署・機種毎に異なる作業標準、試験結果の判定方法や基準の統一という課題がありました。
投資計画あるいは償却方法を含めて、各部門でバラバラに行っていた為、自ずと機器の導入に関しても部門毎に行われていました。まずそこにメスを入れました。
そして、各部門の分析機器に統一性を持たせ、購入時のスケールメリット、機器統一によって作業手順も統一できる。作業標準からきた様々な試験機器、分析機器からの情報で試験結果の判断基準、あるいは判断方法といったものも統一できる。それと分析機器は一般的にコンピューターが接続されているわけですが、そういう分析機器を制御する為のコンピュータ機器のシステムリソースの継承性を最適な状況に持っていく。そういった中で2010年迄、3、4年を費やして朋電舎の「Expert LiMS」を導入して基盤ができ上がりました。
LIMSだけでなく、たくさんあるHPLCもメーカー、機種がバラバラだったものをまとめ、今では、品質管理部門の150台を越える分析機器と接続されています。HPLCが86台接続されていて、他社でもそのような事例は少ないのではないかと思っています。
各部門で様々な思惑で色々なアクションを取ることは非効率なので、パソコンに係わることは情報技術部が一手に面倒をみて全ての部門を全部一つにまとめて展開する、といったやり方を取ることでここまでの改善が実行できたと思います。当社は生産管理システムがあって、工程管理のシステムがあって、且つ品質管理のシステムがある。生産管理、工程管理、品質管理の三位一体のシステムの中でLIMSが一番立ち遅れていたわけで、それを挽回するべく、各システムとの相互連携及び業務統一を考えた多様な仕組み作りができました。
導入が一とおり終わったとはいえ、全てパーフェクトかというと、そうではなく、新たに組織ができたり、あるいは分散していた試験に対して委受託等も行い集中的にやっていく組織ができて、更に残留農薬という他に類がないような検査を実施する為に新しい機械も積極的に入れていこう。ということで、朋電舎の方々には多大なるご理解ご協力をして頂いているということです。

LIMS業者選定

朋電舎の良い所は会社の規模が最適

天秤室

パッケージ導入にあたって、LIMSと言われているシステムの取り巻く環境というのは、ツムラだけではなく、日本で言えば厚労省、あるいはFDA、こういったところの様々な法規制、ガイドラインを熟知していかなければならないのです。
朋電舎のLIMSはパッケージのキャッチコピーにもあるように医薬品や化粧品など、ガイドラインが要求されるような商品の試験管理ができるということも謳い文句に上っていますが、やはりパッケージを導入する際に、ベンダーがそういった意識を持って製品を作っているということは我々のニーズとマッチしていて、朋電舎並びにLIMS導入といったところで選択肢の一つに大きく挙げられると思います。
LIMS選定にあたっては、いくつかの会社との比較検討は勿論行ったわけです。どの会社がどう良かっただとか悪かっただとかという話が一般的に評価の中にある訳ですが、朋電舎の良い所は会社の規模が最適ということです。
このようなシステムは大手の会社さんがパッケージと称して作っていますが、「朋電舎の会社の規模でよくこのシステムを作ったな。」というところがあります。朋電舎の良さはそこに表れています。
システムの導入ではパッケージに合わせた業務運用ということを行ってきましたが、LIMSについては事業所毎に運用が違う部分もあり、パッケージに合わせただけでは通らないところもある。システムが持っている機能もさることながら、我々はそのパッケージをカスタマイズしながら導入するということが余儀なくされるわけです。大手の会社では、小回りが利かず、柔軟性も無い。逆に朋電舎はそれがある。なぜかというと、お客さんの要望に対してシステムをカスタマイズする。小回りがいいと言いますか、即時性がある。大手の場合、人数だけ集まって、そのカスタマイズが良いとか悪いとか自分達のパッケージビジネスに対する様々な思惑で話をし、要望の前に自分達の立ち位置でものを言うケースが非常に多い。朋電舎の場合は非常にそれが薄く、お客様がちゃんとシステムを使って、初めてどれ程のものか評価されるということを理解している。それは、会社の規模がそうさせている。
LIMS以外でも当社には様々な他の技術力でのお手伝いもあり、ツムラの常識等も理解しており、より良くなる方向の前向きな話ができた。非常に良い資質のある方がメンバーだったということが大きかったと思います。

導入効果

全体最適な視点でシステムを作る

導入の効果は様々ありますが、今回システム導入するにあたって朋電舎の方々に業務分析や、ヒアリングをしてもらって最終的にシステムに組み込んでもらいましたが、今風に言えば品質管理業務の見える化ができました。実際のシステムを見てもらうとわかりますが、本当にいいシステムですね。
品質管理部門だけでなく、研究所に試薬管理のシステムも別立てで2箇所導入しています。試薬管理は毒物劇物が多くあり、その利用PRTR法の中で使用実績を上げなければならない。現場で毒物劇物をどう管理するか部門によってバラバラだったのを整備統合、あるいはやる、やらない、を含めてあるべき姿というのを模索して導入しました。
ツムラでは、生産の状況、品質管理の充実という様々な活動目標があるわけですが、その基盤を成すものが昨年でき、これから更に進化して行くことができる環境が整いました。中国の工場も含めて全ての情報を把握し、日本でコントロールできるということが大きいと思います。
システムの導入や複合機などの導入にしても、各事業所・部門がそれぞれで購入・買い替えの話をしていたものを、情報技術部が全社のことを考え統一し計画を立て導入していくことで、多大なコストメリットを生み出すことができましたし、情報の管理ができることで、例えば中国から入ってくる生薬の品質検査が効率的に行えるようになりました。
部門毎の考えで行うよりも、いかに全体最適な視点でシステムを作ると効果が上がるか実証できました。
来年度は、UPLCの導入も視野に入れていますし、上海津村も生産量が増えており2013年には、また、ラインの増設があります。基盤の整備ができたことで品質試験の重複や無駄な試験の割愛も含めて効率化を進めていくことができます。
ツムラでは今現在、米国上市ということで、“大建中湯”の上市を目指して社内で様々なプロジェクトが行われています。そういうところの話題としてやはり大きいのは品質管理のシステムで問われるFDA Part11に準拠したシステムでの品質検査のあり方です。我々が適格に対処しているということはグッドタイミングであり、会社の方針や方向性に対して間に合わせることができたのも非常に大きいだろうと思います。

現場の声

システムが導入されてスムーズに

株式会社ツムラ
生産本部 茨城工場
品質管理部 品質試験課
課長 滝 昌則氏

試験検査部門が第一に求めるものはデータの正確性です。さらに、茨城工場は生産量が増えており、大量の検体を迅速に試験判定し、出荷する責務があります。
我々が生産する漢方エキス製剤は、原料生薬の受入試験から始まって、製薬用水の試験や、中間製品であるエキス、類粒の試験など、それぞれの製造プロセスにおいて様々な試験が実施されています。また、最終製品においては、包装、添付文書、外箱などの資材についても外観検査を含めた検査が行われ、その試験の種類は多岐に渡ります。
LIMS導入後は、集中的な管理が可能となり、よりスムーズに品質試験が行われるようになりました。すべての試験が一元管理され、正確かつ効率的な試験管理の構築に非常に役に立っています。

朋電舎に求めるもの

導入したシステムとしては完成度の高いものと思っていますが、もっとこうして欲しい! こんなことはできないのか? などの意見が試験の現場から上がってきています。
例えば、試薬管理や安定性試験の運用管理などは早急にシステム化したいと思っています。
また、CSV(コンピュータシステムバリデーション)などのレギュレーションの変化にも対応していかなくてはなりません。
ぜひ、これから現場の声や医薬品を取り巻く環境の変化にも迅速に対処し、よりよいシステム構築に今後とも協力いただきたいと思っています。


外観試験

HPLCを使用した定量試験

引張り試験

「Expert LiMS」の主な機能

試験指図管理

  • 分析機器自動収集
  • ローデータ管理
  • 試験項目結果判定
  • 試験結果総合判定
  • 試験成績書
検体指図管理

  • サンプリング指図記録書
  • サンプリングラベル
その他

  • 分析機器管理
  • 環境試験管理
  • 試薬・試液管理